ヴェーダ用拡張(ヴェーダようかくちょう、英語: Vedic Extensions)は、Unicodeの67個目のブロック。
解説
主にインドなどで信仰されているヒンドゥー教の元となったバラモン教などの宗教における聖典「ヴェーダ」を朗唱する際に、どのような音の高さ(メロディ)で読むか、どこで息を吸うか、どこで止まっても良いのか、あるいは止まってはいけないのか、どのような調子の声で読むかなどの、読み上げ方を表すために用いられる記号を収録している。
デーヴァナーガリーに限らず、ベンガル文字、グランタ文字、グジャラート文字、カンナダ文字、マラヤーラム文字、ナンディーナーガリー文字、ネワール文字、オリヤー文字、シャーラダー文字、テルグ文字、トゥル文字、ティルフータ文字などのインドのあらゆる文字体系と共に使われることが意図されている。
なお、ヴェーダには様々な種類の文献が存在し、それぞれにおいて記法が異なっているため、ヴェーダの種類ごとに小分類が分けられている。
Unicodeのバージョン5.2において初めて追加された。
収録文字
小分類
このブロックの小分類は「サーマ・ヴェーダ用の声調記号」(Tone marks for the Samaveda)、「サーマ・ヴェーダ用の気息記号」(Breathing mark for the Samaveda)、「ヤジュル・ヴェーダ用の記号」(Signs for Yajurvedic)、「シャタパタ・ブラーフマナ用の声調記号」(Tone marks for the Satapathabrahmana)、「リグ・ヴェーダ用の声調記号」(Tone mark for the Rigveda)、「アタルヴァ・ヴェーダ用の声調記号」(Tone mark for the Atharvaveda)、「ヴィサルガ用のダイアクリティカルマーク」(Diacritics for visarga)、「鼻音化記号」(Nasalization signs)、「アルダヴィサルガ」(Ardhavisarga)、「ヤジュル・ヴェーダ用の記号」(Sign for Yajurvedic)、「記号」(Signs)、「ジャイミニーヤ・サーマ・ヴェーダ用の記号」(Signs for Jaiminiya Sama Veda)、の12個となっている。本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。また、収録文字が1文字しかない小分類については小分類名が単数形で表現されているが、本記事では単数形か複数形かによる小分類名の表記ゆれについては別の小分類として扱わず、同一の小分類として扱うこととする。
サーマ・ヴェーダ用の声調記号(Tone marks for the Samaveda)
この小分類にはバラモン教の聖典の一つであるサーマ・ヴェーダにおいて声調を表すための記号が収録されている。
サーマ・ヴェーダ用の気息記号(Breathing mark for the Samaveda)
この小分類にはバラモン教の聖典の一つであるサーマ・ヴェーダにおいて息をする箇所を表すための記号が収録されている。
ヤジュル・ヴェーダ用の記号(Signs for Yajurvedic)
この小分類にはバラモン教の聖典の一つであるヤジュル・ヴェーダにおいて用いられる記号が収録されている。
シャタパタ・ブラーフマナ用の声調記号(Tone marks for the Satapathabrahmana)
この小分類にはバラモン教の聖典の一つであるヤジュル・ヴェーダにおいて、ブラーフマナ(祭儀書)と呼ばれる儀式の意義や進め方などを解説する書物の一つであるシャタパタ・ブラーフマナで用いられる、声調を表す記号が収録されている。
リグ・ヴェーダ用の声調記号(Tone mark for the Rigveda)
この小分類にはバラモン教の聖典の一つであるリグ・ヴェーダにおいて声調を表すための記号が収録されている。
アタルヴァ・ヴェーダ用の声調記号(Tone mark for the Atharvaveda)
この小分類にはバラモン教の聖典の一つであるアタルヴァ・ヴェーダにおいて声調を表すための記号が収録されている。
ヴィサルガ用のダイアクリティカルマーク(Diacritics for visarga)
この小分類にはヴェーダにおいてヴィサルガと呼ばれる、音節末に[h]を伴うことを表す記号類が収録されている。
鼻音化記号(Nasalization signs)
この小分類にはヴェーダにおいて鼻音化を表すための記号が収録されている。
アルダヴィサルガ(Ardhavisarga)
アルダヴィサルガは、サンスクリット語でジフヴァムリヤ音(jihvamuliya)(軟口蓋摩擦音、IPA:[x])とウパドマニヤ音(upadhmaniya)(両唇摩擦音、IPA:[ɸ])を指す。その使用はヴェーダに限定されない。
なお、小分類名アルダヴィサルガの「アルダ」とはサンスクリット語で「半分の」を意味する単語である。
記号(Signs)
この小分類にはヴェーダで用いられる様々な発音記号が収録されている。
ジャイミニーヤ・サーマ・ヴェーダ用の記号(Signs for Jaiminiya Sama Veda)
この小分類にはバラモン教の聖典の一つであるサーマ・ヴェーダのうち、主にタミル・ナードゥ州やケーララ州で主流となっているジャイミニーヤ(Jaiminīya)派と呼ばれる流派の一つにおいて用いられる記号が収録されている。
文字コード
履歴
以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。
出典
関連項目
- ヴェーダ




