ㅣは、ハングルを構成する母音字母のひとつ。呼称はイ(이)。24番目の字母(『訓蒙字会』以降は母音字母としては10番目、『訓民正音』当時は「天地人」の「人」を表し、最初の「ㆍ」から3番目)である。始めから終わりまで音色の変わらない単母音を表す。
音声
唇を両横に開き、前舌を硬口蓋に接近させた非円唇前舌狭母音[i]で発音される。/ㅜ/[u]や/ㅡ/[ɯ]よりも舌の最上部が前に動き硬口蓋に近づいている。
沿革
『訓民正音』の中声字においてその直立した字形は人を象ったものとされ、陰にも陽にも属さない中性母音に分類される。世宗序では「如侵字中聲」と規定されている。
その名称は『訓蒙字会』(1527年)でイ(伊이の中声部分)とされた。
ただし現代朝鮮語における擬声語・擬態語や用言の活用における扱いは陰母音であり、擬声語・擬態語では陽母音ㅐに対立する陰母音となっている。
ラテン文字転写
文化観光部2000年式、マッキューン=ライシャワー式ともにiと表記される。企業名や人名、団体名では、eeと表記することもある。また、子音無しの이の場合はyを補ってyiやyeeとすることもある。(例:李(姓の一つ)→Yi)
造字
ㅣは中性であるので陽母音・陰母音ともに結合することができる。結合する際に必ず最後の要素となる。
- 陽母音
- ㅏ ㅣ = ㅐ [ɛ]
- ㅑ ㅣ = ㅒ [jɛ]
- ㅗ ㅣ = ㅚ [ø]([we])
- ㅗ ㅏ ㅣ = ㅙ [wɛ]
- 陰母音
- ㅡ ㅣ = ㅢ [ɰi]
- ㅓ ㅣ = ㅔ [e]
- ㅕ ㅣ = ㅖ [je]
- ㅜ ㅣ = ㅟ [y]([wi])
- ㅜ ㅓ ㅣ = ㅞ [we]
またこの字母は造字の基本となる天・地・人を表す3つの基本字の一つでもあり、天を象る「ㆍ」との組み合わせで基本字母のㅏ ㅑ ㅓ ㅕ が作られる。ㆍがこの字母より右側(外)に位置すれば陽母音を、左側(内)に位置すれば陰母音を表す。
文字コード
脚注
関連項目
- 縦棒(縦線)

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